朝型の人ほど成功しているのか|クロノタイプ研究が示していること
成功者は朝が早い。開運でも自己啓発でも定番の話です。ただ、朝型と夜型が何で決まるのかを調べたところ、これはかなりの部分、体質の話でした。
「朝活」は、なぜ語られ続けるのか
成功者は朝が早い。開運の世界でも自己啓発の世界でも、これは定番です。朝の掃除、朝の瞑想、朝の参拝。当サイトでも朝の習慣をすすめる記事を書いています。
ただ、正直に言うと、私は朝が弱いほうです。同じように感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで、朝型と夜型は何で決まるのかを調べました。結論を先に書くと、これはかなりの部分、体質の話でした。
クロノタイプは、努力ではなく体質
朝型・夜型の傾向をクロノタイプと呼びます。「早起きが得意な人」という性格の話ではなく、体内時計の性質を指す言葉です。
双子を対象にした研究では、クロノタイプはおよそ50%が遺伝的に決まると報告されています。70万人規模でクロノタイプと遺伝子の関係を調べた研究では、関係する遺伝子が351種類見つかったという報告もあります。
仕組みとしては、こう説明されています。
| 朝型の人 | 夜型の人 | |
|---|---|---|
| 体内時計の周期 | 24時間より短い傾向 | 24時間より長い傾向 |
| 朝の光への反応 | 感受性が高く、時計が前に進みやすい | 感受性が低く、リセットされにくい |
つまり、夜型の人が朝に弱いのは、意志が弱いからではありません。体内時計の周期が長く、朝の光でリセットされにくいからです。
では、なぜ朝型が評価されるのか
ここが本題です。
朝型の人が高く評価されるのは、社会のほうが朝型に合わせて作られているからです。学校も会社も、朝に始まります。朝早くから動いている人は「真面目」「努力家」「意志が強い」と見なされ、そのシステムに合わせられない夜型は「怠け者」「自己管理ができない」と受け取られがちです。
同じ人が同じ量を働いても、働く時間帯が違うだけで評価が変わる。「朝型のほうが成功する」という観察には、この評価の偏りがかなりの部分含まれているはずです。
そして、成功した人の朝の習慣がよく語られるのには、もうひとつ理由があります。私たちは、成功した人の話しか聞かないからです。同じように早起きをして、うまくいかなかった人の朝の習慣は、記事になりません。
社会的時差ぼけという問題
体質と社会の要求がずれると、実害が出ます。これを社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)と呼びます。
平日に無理をして早起きし、足りない睡眠を休日の寝だめで埋め合わせる。すると体内時計がさらに後ろへずれ、月曜の朝がもっとつらくなる——という循環です。時差のある土地へ毎週飛んでいるようなもの、という説明のされ方をします。
無理に朝型へ矯正しようとすることが、かえって不調を招く場合があるということです。
開運の「朝の習慣」をどう考えるか
ここで、開運の話に戻します。
朝の掃除、朝の参拝、朝の瞑想。これらがすすめられてきたのには、それなりの理由があります。誰にも邪魔されない時間である、一日の最初に済ませると先延ばしが起きない、静かで人が少ない——どれも納得できます。
ただ、「朝でなければ意味がない」と書かれた古い記述を、私は見たことがありません。掃除も瞑想も感謝も、時間帯を限定する話ではないはずです。
「朝でなければ」と思い込んで三日でやめてしまうより、自分が確実に動ける時間帯に置いて、毎日続けるほうがいい。それが習慣というものの性質です。
自分の時間帯に合わせて組む
朝型の人
そのまま朝に置いてください。起きてすぐ、いちばん力の出る時間に、いちばん面倒なものを。
夜型の人
夜に寄せて構いません。夜の掃除は、翌朝の景色が変わるという利点があります。瞑想も、寝る前のほうが目的に合っています。
共通して効くこと
- 時刻ではなく、行動に紐づける。「朝7時に」ではなく「顔を洗ったら」「歯を磨いたら」
- 休日の寝だめは2時間まで。それ以上ずらすと社会的時差ぼけが大きくなります
- 起きたら光を浴びる。朝型に近づけたい人には、これが最も現実的な方法です
まとめ
- クロノタイプはおよそ50%が遺伝。関係する遺伝子は351種類という報告もある
- 夜型が朝に弱いのは体内時計の周期と光への感受性の違いによる
- 朝型が高く評価されるのは、社会が朝型向けに設計されているから
- 無理な矯正は社会的時差ぼけを招くことがある
- 開運の習慣に「朝でなければ」という決まりはない。続く時間帯に置くこと
出典
- 日本時間生物学会誌『時間生物学』Vol.18, No.2(2012)クロノタイプに関する解説 chronobiology.jp
- ミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)日本語版 mctq.jp
- 社会的時差ぼけ(ソーシャルジェットラグ)に関する睡眠専門医の解説 RESM