感謝を書き出すと何が変わるか|3週間の実験でわかったこと
感謝ほど「言うのは簡単だが、効果があるのか分からない」ものもありません。そこで、感謝を実験で確かめた研究を紹介します。やったことは、週に一度の書き出しだけでした。
「ありがとう」を数える実験
感謝は、開運行動の定番です。当サイトでも「感謝を伝える」を運活のひとつに挙げています。
ただ、感謝ほど「言うのは簡単だが、効果があるのか分からない」ものもありません。そこで、感謝を実験で確かめた研究を紹介します。この分野で最もよく引用される、エモンズとマッカロー(Emmons & McCullough)が2003年に『Journal of Personality and Social Psychology』誌で報告したものです。
やったことは、週に一度の書き出しだけ
研究では、参加者をいくつかのグループに分け、記録をつけてもらいました。
| グループ | 書いたもの |
|---|---|
| 感謝 | ありがたいと思ったことを書き出す |
| 面倒事 | 煩わしかったこと、うまくいかなかったことを書き出す |
| 中立/比較 | ふつうの出来事、または他人との比較 |
頻度は、研究1では週に一度、研究2では毎日。それだけです。特別な訓練も、道具も要りません。
3週間で、何が変わったか
感謝を書き出したグループに現れた変化は、次のとおりです。
研究1(週に一度・大学生)
- 運動する時間が増えた
- 身体の不調の訴えが減った
- 自分の生活全体をより良く評価するようになった
- 翌週について楽観的になった
研究2(毎日・大学生)
覚醒、熱意、決意、注意深さ、活力といった前向きな状態が高くなりました。面倒事を書いたグループや、他人と比較したグループと比べての結果です。
研究3
神経筋疾患のある方を対象にした研究でも、感謝の条件で同様の傾向が見られました。
個人的に驚いたのは「運動する時間が増えた」という点です。感謝を書くことと、体を動かすこと。一見つながりません。ただ、自分の状態を前向きに評価している人のほうが体を動かす、と考えれば筋は通ります。
正直に書いておきたいこと
研究の結論には、「いくつかの指標で、ただしすべてではない」という但し書きがついています。最もはっきりした効果はポジティブな感情に対するものでした。
つまり、感謝を書き出せば人生のあらゆる面が良くなる、と示されたわけではありません。気分が上向く。効果として確からしいのは、まずそこです。
ただ、私はそれで十分だと思っています。気分が上向いている人は、掃除もするし、人にも優しくできる。気分は、行動の入り口だからです。
なぜ「書き出す」必要があるのか
感謝するだけなら、頭の中でもできます。それでもこの研究が書き出すことを求めたのには、意味があるはずです。
思っただけのことは、その日のうちに消えます。書いたものは残ります。そして、書こうとして初めて探し始めます。「今日ありがたかったことは何か」と問われなければ、人は一日を無自覚に通り過ぎます。
これは、当サイトが繰り返し書いてきたことと同じです。良い行いが続かないのは、残らないから。感謝もまた、残さなければ積み上がりません。
続けるための3つのコツ
1. 具体的に書く
「家族に感謝」ではなく「妻が私のぶんまでゴミを出してくれた」。具体的なほうが、感情が動きます。抽象的な感謝は、すぐに作業になります。
2. 数は3つまで
研究では5つ程度でしたが、続けることを優先するなら3つで十分です。書けない日は1つでかまいません。
3. 寝る前に
一日を振り返れる時間であること、そして思い出す作業そのものが、就寝前の頭を静めることが理由です。瞑想の代わりに置いてもいいと思います。
毎日でなくてもいい
この研究で興味深いのは、週に一度でも効果が見られたことです。
毎日書くのが理想だと思って始めて、三日で終わる。よくある話です。それなら日曜の夜に週1回と決めたほうが、結果的に長く続きます。
吉貯金では「感謝を伝えた」を開運行動のひとつとして数えられるようにしています。書き出すのでも、口に出すのでも構いません。数えられる形にしておくことが目的です。
まとめ
- 感謝を書き出したグループは、運動時間が増え、身体の不調の訴えが減り、生活への評価が上がった(Emmons & McCullough 2003)
- 最もはっきりした効果は「ポジティブな感情」。すべての指標で効果が出たわけではない
- 週に一度でも効果が見られた。毎日でなくてよい
- 具体的に、3つまで、寝る前に
- 思っただけでは残らない。書き出して初めて積み上がる