吉貯金コラム

財布の中身と年収の関係は本当か|データで確かめられること、まだ分からないこと

習慣

長財布がいい、黄色がいい、レシートを入れてはいけない。よく聞く話ですが、それは確かめられたことなのでしょうか。調べてみると、思っていたより正直に書かざるを得ない結果になりました。

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「長財布の人は年収が高い」の出どころ

財布の話は、開運の世界でもお金の世界でも人気があります。長財布がいい、黄色がいい、レシートを入れてはいけない——聞いたことのある方は多いはずです。

では、それは確かめられた話なのでしょうか。調べてみると、思っていたより正直に書かざるを得ない結果になりました。

財布の中身と年収を直接調べたデータは、見当たらない

結論から書きます。「財布の形」「財布の中身」と「年収」の関係を統計的に調べた公的なデータを、私は見つけられませんでした。

総務省の家計調査は収入と支出を細かく調べていますが、財布の中身までは聞きません。金融広報中央委員会の調査も、金融資産や貯蓄行動が対象です。

よく引用される「お金持ちは長財布」という話は、著者の観察や取材にもとづくもので、無作為に選んだ人を大量に調べた結果ではありません。だから間違いだ、という意味ではありません。ただ、「データがある」と言えるものではない、ということです。

ここで話が終わってしまうと記事になりませんが、財布まわりで、はっきり分かっていることもあります。そちらを見ていきます。

分かっていること① 払い方が変わると、使う額が変わる

プレレックとシメスター(Prelec & Simester)が2001年に報告した実験があります。スポーツ観戦チケットの入札で、クレジットカードで払うと言われた人は、現金で払うと言われた人より高い金額を提示しました。

この差を生むのが「払いの痛み(pain of paying)」です。現金は、財布から減るのが目に見えます。カードや電子マネーは、その瞬間には何も減りません。痛みが薄いほど、人は多く払う。

キャッシュレスをやめるべきだ、という話ではありません。ポイントも履歴も便利です。ただ、「痛みを感じない仕組みを使っている」という自覚があるかどうかで、使い方は変わります。

分かっていること② 把握している人と、していない人がいる

もうひとつ、財布そのものより効いていそうなことがあります。いま自分がいくら持っているかを知っているかどうかです。

財布を開けば分かる、と思われるかもしれません。ですが、レシートとポイントカードで膨らんだ財布は、開けても分からない状態です。開けるのが億劫になれば、そもそも見なくなります。

家計簿が続かない人は多いと思います。私も続きませんでした。ただ、財布のレシートを週に一度出すだけなら、3分で終わります。そして出すときに、否応なく金額を見ることになります。家計簿の代わりとしては、かなり現実的な線ではないでしょうか。

分かっていること③ 整った環境では、選ぶものが変わる

環境と選択の関係を調べた研究もあります。フォース(Vohs)らが2013年に報告した実験では、整った部屋にいた人は健康的なおやつを選び、寄付も多く、「定番」と書かれた商品を選びました。散らかった部屋にいた人は「新登場」と書かれたほうを選んでいます。

部屋の話ですが、財布も同じ理屈が働いていておかしくありません。整った財布と、レシートで膨らんだ財布。開けたときに受け取る印象は、確実に違います。

で、財布はどうするのがいいのか

データから言えることだけで組み立てると、こうなります。

財布は「見る回数」を増やす道具

結局のところ、財布にできることは自分のお金と向き合う回数を増やすことだと思います。

年収を決めるのは仕事のほうです。財布が年収を上げるという話には、根拠が見当たりません。それでも、入ってきたお金がどう出ていくかを見る回数なら、財布を整えることで確実に増やせます。

昔から寅の日巳の日に財布を新しくする習わしがあるのも、案外そういうことなのかもしれません。日を決めて財布を入れ替えるという行為は、年に何度か、中身を全部出して見直す機会そのものだからです。

まとめ

出典